法規制 ポジティブリスト方式と機能・性能方式
あるファーストフード店でコーヒーを持ち帰りで注文したときのことです。
特に何も言わずに頼むと、シュガー、ミルク、マドラーの3点セットが基本セットして付いてきます。
「シュガーはいりません」と伝えると、ミルクとマドラーだけが付いてきました。
「シュガーもマドラーも不要です」とさらに指定すると、なぜかミルクまで無くなってブラックになってしまいました。
要らないものを伝える方式は、店側が前提としている基本セットの理解や「不要」と言われたものが他のアイテムにどう影響するかの判断が必要になり、思いのほか複雑になることに気づきました。
否定形の指示はどうしても思考が二段階になりやすく、誤解も生まれやすいように感じます。必要なものだけを前向きに伝える「ミルクだけ付けてください」という言い方のほうが、シンプルで確実なのだと思います。
この構図は、法規制で対象となる製品をどのように指定するかというテーマにもよく似ています。
代表的な方式として「ポジティブリスト方式」と「機能・性能方式」の二つがあります。
ポジティブリスト方式は、対象製品を品名で指定する方法で、電気用品安全法がその代表例です。冷蔵庫や電子レンジのように、用途に応じた品名がリスト化されており、一般的な製品は判断しやすいのが利点です。一方で、新しい製品や複数の機能を持つ製品が出てくると、どの品名に当てはめるべきか迷うケースが生まれます。
もう一つの機能・性能方式は、製品が持つ機能や性能を基準に対象範囲を示す方法で、電波法がその典型です。無線機能など、技術的な条件が明示されているため判定しやすい反面、どうしても専門的な知識が求められます。
コーヒーの話と同じように、指定の仕方ひとつで仕組みの分かりやすさや運用のしやすさは大きく変わります。必要なものを前向きに示すのか、不要なものを取り除いていくのか。あるいは、機能や性能の基準を示す方が良いのか。これらの違いを意識するだけで、誤解や混乱を減らせるのだと感じています。


