ISO9001を改めて考えてみる その3
前回のコラム「ISO9001を改めて考えてみる その2」では、「ISO9001では用語を規格に合わせる必要はない」と記載されているにもかかわらず、
実際には多くの企業が「規格用語に合わせている」というお話をしました。
同じことが用語だけでなく“仕組み全体”でも起きています。
ISO9001には、次のことを求めないという記載があります。
- 「品質マネジメントシステムの構造を画一化すること」
- 「文書類を規格の箇条構造に一致させること」
- 「規格の用語を組織内で使用すること」
つまり、ISOは本来、「各社のやり方で仕組みを作ってよい」という、非常に自由度の高い規格なのです。
しかし現実を見てみると、多くの企業で
・画一的な構造
・規格の章立てそのままのマニュアル
・規格用語をそのまま使った文書
といった、“画一的な仕組み”が作られていますが、その理由は何でしょうか。
- なぜ“やらなくてよいことが”が起きるのか
● 審査の“読みやすさ”優先
・規格構造に合わせる → 審査員がすぐ理解できる
・用語も同じ → 解釈のズレが起きにくい
⇒ 結果として、指摘リスク下がります。
● 作る側の“負担回避”
本来は
・自社業務を整理し
・規格要求にマッピングする
必要がありますが、かなりの手間がかかります。
⇒ 規格通りに作れば考えなくてよい
● 外部や過去資産の影響
・テンプレは規格構造そのまま
・前任者の文書を踏襲
⇒ 「そのまま使う文化」が固定化
2.その結果、何が起きているか
本来の目的は、品質を安定させる仕組みを作ることですが、
しかし、現実は
・規格に合わせることが目的化
・現場の言葉とズレた用語
・誰も読まない文書
になっています。
⇒ “守るための仕組み”ではなく“見せるための仕組み”です。
3.「不自由なISO」になっている本質
⇒ 「審査に通る最適解」と「現場で機能する最適解」がズレている、また自由に設計できるはずの仕組みを、自分たちで不自由にしている
4.どう考えるべきか
現実的にこのくらいのバランスがよさそうです。
✔ 最低限合わせるもの
規格要求との対応関係(説明できること)
✔ 自由にしてよいもの
・用語
・文書構成
・表現方法
⇒ 審査で説明できる範囲で、現場に合わせることです。
現場は、規格に縛られているのではなく、私たち自身が縛っているのかもしれません。
「不自由な品質マネジメントシステム」から「現場に合った品質マネジメントシステム」に移行したらいかがでしょうか。

