ISO9001を改めて考えてみる その7

ISO9001の運用について議論すると、「審査対応」が目的化してしまうケースがしばしば見られます。
しかし、問題の本質は“審査そのもの”ではありません。

実際には、
 • 審査に合格しなければならない
 • 指摘を受けてはいけない
 • 認証を維持しなければならない
という強いプレッシャーが経営層から事務局へ伝わり、その結果、“審査に通るための仕組み”が優先されやすくなっていると考えられます。

その過程で、
 • 規格用語に合わせた文書
 • 実際には使われないルール
 • 形だけの記録
 • 暗記のための品質方針
といった、「運用のため」ではなく「審査対応のため」の仕組みが生まれてしまうことがあります。

しかし、本来のISO9001はそのようなものでなく、ISO9001の本質は、
 「良い品質を安定して実現する仕組みを構築し、それを継続的に改善すること」
にあります。
そして審査とは、
 「その仕組みが実際に機能しているかを、外部の視点で確認すること」
であるべきだと考えられます。
つまり、審査は“目的”ではなく、“結果を確認する場”です。

近年のISO9001審査も、「適合性の監査」から「有効性の監査」に移って、規格への適合状況を確認するだけでなく、仕組みが、実際に品質向上や経営改善に役立っていることを確認する考え方になっています。
審査で確認される内容も、記載ミスや単純な漏れといった細かな指摘より、
 • 仕組みの不安定さ
 • 属人化のリスク
 • 品質ばらつきの要因
 • リスク管理や再発防止の実効性
といった、より本質的な内容へと移ってきています。

重要なのは「規格に合わせること」よりも、「実際の業務に合っていること」です。
 • 現場で使われる仕組みになっているか
 • 誰か一人に依存しない運用になっているか
 • 実際の品質改善につながっているかこうした“実効性”を重視しながら、ISO9001を認証維持のための仕組みではなく、品質を支える道具として活用していくことが重要です。

品質マネジメントシステムの軸を、「審査に合格すること」から「自社の実態に合わせ、良い品質を安定して実現すること」へ移していくことが、これからますます求められていくのではないでしょうか。