ISO9001を改めて考えてみる その8(完)

ISO9001の箇条は、どんな業種・規模の組織にも当てはまるように、あえて抽象的に書かれています。 そのため、自分たちの組織の構造や活動にどう落とし込むかを考える必要があります。
ここで重要になるのが「箇条の解釈」ですが、審査員と組織では、箇条の読み方・進め方が真逆になります。

● 審査員のアプローチ(上から下へ)
 審査員は“規格を基準にして事実を評価する”という流れで考えます。
  ① 大前提・・・規格にある箇条の要求から、判断基準(ルール)を読み取る。
  ② 小前提・・・組織の実際の活動・仕組み・発生した事実を確認する。
  ③ 結論・・・大前提(ルール)に事実を事実のあてはめて、大前提(ルール)に合っているかを評価し、
   「適合」「有効」の判断を下す。
 つまり、審査員は「規格 → 事実 → 結論」 の順で見ます。これは、法律の世界における「法的三段論法」と同じです。

● 組織のアプローチ(下から上へ)
組織は“求められる結論を得るために仕組みを作る”という流れになります。
  ① 結論・・・審査で「適合」「有効」と判断される状態を目指す。
  ② 大前提・・・規格にある箇条を、判断基準(ルール)としての要求事項を考える。
  ③ 小前提・・・解釈した要求事項に合うように、  組織の仕組み・活動・記録などの事実を整えていく。
つまり、組織は、 「結論 → 規格 → 事実」 の順で動きます。

●組織は「適合したい」という結論から逆算するため、 規格を必要以上に厳しく解釈し、過剰な仕組みを作りがちです。
また、認証取得を支援するコンサルタントも 「審査で問題が起きないように」という意識があるので、規格そのもののような仕組みを作ってしまいがちです。
 その結果、
  • 文書が増える
  • 記録が増える
  • 現場が疲弊する
  • ISOが“形骸化”する
 という問題が起きます。

●本来あるべき導入の姿をこんな風に考えています。
 ISO9001を導入するときは、 組織が持っている強みや特徴を生かしながら、 有効性の高い仕組みを組み込むことが重要です。規格に合わせるのではなく、組織の良さを活かしつつ、規格の要求を満たす形にすることが理想で、事務局やコンサルタントの力量が問われるところです。

●8回に渡ってISO9001の姿を考えてきましたが、これをお読みになった方はどのように感じられましたか。